Heroes of Might and Magic III レビュー
改めて読み返してみると、前回の Commander : Europe at War のレビューは、グダグダもいいとこですね。反省。そのうち、改訂版を書きましょう。
気を取り直して。前から紹介しようと思いつつ忘れていた、「Heroes of Might and Magic III Complete」が、少し前に GOG.com で販売開始となりました。というわけで、勢いで紹介しちゃいましょう。
Heroes of Might and Magic (以下、HoMM と略) シリーズは、超有名なCRPGシリーズ、Might and Magic の外伝作品となる、ターン制のファンタジー・ウォーゲームです。一応、本編とストーリーが繋がっているのですが、ゲーム性は全く別のものだし、本編を完全無視しても問題なく遊べます。(事実、本編と HoMM とでは、ファン層はさほど被っていない様子)
海外には熱狂的なファンが多く、4作目までを製作していた会社が倒産してしまうという大きなトラブルがありましたが、開発会社を変えて、現在でも新作が作られています。公式のアナウンスはされていませんが、どうやら現在、6作目を開発中である様子。(製作会社の人間が、それを仄めかす言動をしています)
シリーズほぼ全ての作品がかなり高い評価を受けていますが、中でも最高傑作の呼び声高いのが、シリーズ3作目に2つの拡張パックを導入したバージョン、つまり今回紹介する Complete 版です。発売されてから10年近く経つのにも関わらず、新作MODがアナウンスされたり、ユーザー作成マップが投稿されていたりと、まだまだ現役で遊ばれています。
この 3作目以降は、作品毎に少しずつコンセプトが違っていて、購入の際には注意が必要だったりしますが、そんな話は取り敢えず置いておいて、今回は HoMM3 だけ紹介します。
HoMM シリーズは、基本的にはいわゆる国盗り合戦ゲームです。拠点となる都市を発展させつつ、ヒーローユニットとクリーチャーを雇って軍隊を作り、マップ上の鉱山を支配したり、アイテムを集めながら、ライバル陣営の都市をどんどん占領していくのが目的です。戦闘は「シンボルエンカウント方式」を採用しており、マップ上で敵の軍隊やモンスターと接触すると、戦闘モードへ移行するシステムになっています。
システム面で特徴的なのは、「モンスター集団を蹴散らしながらのマップ探索」、「ヒーローユニットの育成」といった CRPG 風の要素が盛り込まれている点です。その一方で、ヒーローユニットは直接戦闘に参加せず、クリーチャーの戦闘能力を補正したり、時折魔法でサポートするのみと、完全に戦略ゲーム寄りのルールになっていて、ユニークです。一作目が発売された時点では、他に似たようなゲームがなく、かなり独自性の高い作品でした。
とは言え、全体的に見れば、HoMM はバリバリの硬派な戦略ゲームです。前述の CRPG 風の要素ですら、あくまで戦略の多彩さ、奥深さを高めるための要素であり、「CRPG の面白さを取り込んだ」という感じではありません。まあ取り敢えず、日本で言う「シミュレーションRPG」とは全くの別物なので、「好きなキャラを好きなように育成する」みたいなのは期待しないように。
そして、HoMM3 は、戦略ゲームとしての完成度が著しく高いです。その奥深さ、完成度、そして中毒性の高さは、あの「シヴィライゼーション」シリーズに匹敵します。
個々のルールはシンプルで、細かいパラメータの調整を必要としないし、最弱ユニットと最強ユニットの間でパラメータが何十倍も違ってたりするので、多くの方は「何だか大味なゲームっぽいな」という印象を、初見で感じると思います。しかし、その実態はまるっきり逆で、時には相当シビアな判断を迫られる、ストイックなゲームです。大局的な部分から細かい部分まで、気を抜かずにしっかり知恵を絞らなければなりません。
ゲームを動かしているメカニズムも、実際にはかなり複雑で、何をすればどんな結果が出るのかは明確なのですが、その結果が間接的にあちこちへ影響を与えるため、一つの判断を下すためにも、様々な要素を考慮しなければなりません。こういった事を体で覚える頃には、一見大味な数値バランスも、実はかなり綿密に調整されたものである事が分かってきます。とにかく、隙がない。勿論、名作ストラテジーの常として、必勝パターンは存在せず、長期的な見通しと現状を把握した上で、柔軟かつ的確に判断を下す必要があります。
敵 AI は、かなり賢いです。難易度 EASY 設定でも、最初のうちはなかなか勝てないかもしれません。戦略ゲームに慣れていない人にとっては、この難易度の高さが壁になってしまっているのですが、このゲームは特に負けて学ぶ事柄が多いし、一度壁を越えてしまえば、シングルプレイ専門でも飽きる事なく長く遊べるので、これを欠点とすべきかどうかは、微妙。
ちなみに、久し振りに遊んでみたら、キャンペーンモードの序盤は、案外難易度が低いですね。まずはキャンペーンで、特に戦闘の感覚を身に付けておくと良いでしょう。
ボリュームについても、問題なし。既に大量のユーザー作成マップが出回っていますし、マップエディタで自作に手を出すのも良し。ランダムマップ作成機能もありますが、正直、これは気分転換に使える、くらいに考えておくのが無難かと。ゲームバランス的にはともかく、あまり捻りのないゲーム展開になり易い気がします (まだ、あんまり触ってないけど)。
……というわけで。流石にグラフィックが古さを感じさせますが (雰囲気は悪くない)、ゲーム内容は今遊んでも相当に面白いです。ゲーム展開が軽快で、サクサクとテンポ良く進むので、一度始めると、なかなか止まらない。中毒性はかなり危険なレベルだと言えます。この内容で約1000円は安過ぎです。
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