Commander : Europe at War レビューの続き
というわけで、「Commander - Europe at War」レビューの続きです。今回は、AI の出来と、機種間の違いなどについて。
AI の出来はどうか
最初にお断りさせていただきますが、AI についての評価は、 PSP 版をプレイした時のものです。PSP 版はプログラムを全て作り直しているので、PC 版とは、ひょっとしたら挙動に違いがあるかも知れません。PC 版のレビューを読む限りでは、全然変わらない気もしますが、念のため。
まあ、とまれ。正直に言って、CEaW の AI は、あんまり賢くないです。戦術レベルでは、結構面白い動きを見せる事もありますが、戦略レベルでの判断が全然ダメ。
例えば、AI が連合国側を担当する場合、北アフリカや中東あたりが、完全に放置されます。特に中東は、このゲームでは特に貴重な油田が幾つかあり、それらを枢軸国から守る事は戦略的に大きな意味がある筈なんですけど……
あと、無事「あしか作戦」を成功させ、グレートブリテン島を完全にドイツ支配下に置いてみたところ、AI はどうもグレートブリテン島の奪回にやっきになっているようで、守りが著しく薄いフランス本土は、完全に放置プレイを食らってました。て言うか、輸送船で陸上ユニットを送り込んで来る気配すら無かったのは、一体……?
戦略的な判断を行わないなら、せめて史実通りの展開を狙うようになっていれば、多少は面白かったのかもしれませんが、残念ながら、それも無し。
残念な事に、AI の賢さを変更するオプションは、このゲームには存在しません。ただ、単純に「歯応えのあるゲーム展開」を望むのなら、ゲーム開始前のオプションで、コンピュータ側陣営に大きなハンデを与える、という選択肢があります。コンピュータ側のハンデを最大にすると、ベテランゲーマーであっても、取り敢えず難易度の面では満足出来るでしょう。ただ、行動が単調なのは変わらないので、あまり何度も繰り返して遊べるわけではありません。
PC 版はともかく、対戦に全く対応していない PSP 版、DS 版で、この AI の出来は、正直言ってちょっと厳しいです。
機種ごとの仕様の違いなど
まず、パソコンで遊べる Windows、Mac OS X 両版と、携帯ゲーム機版との間には、2つの大きな違いがあります。一つは、これまで何度も書いているように、携帯版は対戦に全く対応していない事 (一つの本体を交互に使う形での対戦すら不可)。そしてもう一つは、マップの広さです。
携帯版のマップは、パソコン版のマップと比較して、長さで半分、面積で四分の一になっています。たぶん、メモリ容量の都合でしょう。ユニット生産のコストや移動力などがちゃんと調整されているので、バランスが崩壊しているような事はありませんが、プレイ感覚はやや異なる感じです。
と、バランス面では問題が無いんですが、見た目に問題が。マップの画像を、パソコン版の画像をそのまま縮小して使っているため、ヘックスと地形の画像が一致しておらず、どんな地形なのか分かり辛いヘックスが結構あります。特に困るのが、見た目では陸上のマスなのに、実は海だった、というパターン。
ちなみに、この縮小版マップは、後に Windows 版にも最新パッチにて逆輸入されています。Mac OS X 版には、このアップデートは未だ用意されていない様子。
取り敢えず、携帯ゲーム機版は、AI の出来がイマイチで、対戦不可、細かいバグも多いと、どうにも今一つお勧め出来かねる、というのが正直な感想です。特に PSP 版は、致命的なバグもあるし、明らかに「ハズレ」。
続いて、Windows 版の、イギリス版とアメリカ版の違いについて。このゲームは、イギリスでは Slitherine Software 社から、アメリカでは Matrix Games 社から発売されており、現在ではパッケージを一新した「Gold」版が流通しています。が、両者では、演出面で少しだけ違いがあります。
イギリス版には、アメリカの History チャンネルと契約して提供してもらった当時の映像が、オープニングや敵ユニットを撃破した際などに流れますが (ちなみに、これは携帯ゲーム機版も同様)、アメリカ版では、何故かカットされています。
……えーと、それだけです。ゲーム内容に違いは無いし、イギリス版とアメリカ版で対戦する事も可能。
まとめ
前回と違い、今回は何だか文句が多いですね。改めて読み返してみると。文句ばっかりブーブー言ってるわりには、実は結構気に入って遊んでるんですが。
正直、対戦に興味が無い人にとっては、何度も繰り返し遊べるゲームではないと思います。ルールは良くても、AI がちょっと駄目な感じですので。まあ、ルールが面白いからと、割り切って遊べるなら、さほど問題は無いかも。
逆に、対戦向けには良く出来たゲームだと感じます。単にルールがシンプルなだけではなく、結構マニアックな要素が盛り込まれていて、面白いです。
但し。これ、前回書いたつもりで忘れてたんですが、あまり「二次大戦のシミュレーション」としてどうこう、と考えない方が良いです。リアリティという点では、ルールにも色々と問題が多過ぎです。単純に、ゲームとして展開が面白くなるよう、ルールやバランスが調整されています。
個人的には、ヘックスで構成されたマップ上をチマチマとユニットを動かして攻めていくゲームが久し振りだったし、素直に「シンプルでがっつり遊べる、楽しいゲーム」でした。
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