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2009/07/24

Kohan シリーズの紹介

前回、名前が出て来たKohanシリーズですが、ここではまだ紹介していませんでしたね。ついでだから、紹介しちゃえ。

Kohanシリーズは、Timegate Studio の開発による、RTS です。シリーズ作品は、「Kohan : Immortal Sovereigns (KIM)」「Kohan : Ahriman's Gift (KAG)」「Kohan2 : Kings of War (KoW)」の、全三作。なお、Ahriman's Gift は、Immortal Sovereigns に幾つかのユニットと地形を追加した改訂版で、拡張パックと違い、これ単体で遊べるようになっています。

初代の KIM は、斬新かつ優れたゲームシステムがメディアに高く評価されたものの、その評価が実際の売り上げには結び付かず、シリーズ全体があまり知られないまま、現在に至っている、不運なタイトルです。

正直なところ、Kohan はパッと見た印象だと、ごく普通の RTS に見えます。それどころか、演出がかなり地味なので、「二流品の RTS」に見えてしまうかもしれません。このへんが、売れなかった大きな理由である気がしますが、とまれ、中身は一般的な RTS とは全く別物です。

実際に Kohan を遊んでみて、まず最初に気付く特徴は、「とにかく、操作が忙しくない」という事です。ゲーム進行スピード自体がやや遅めである事に加え、資源の生産が自動化されている、兵士ユニットに細かく指示を出す事が出来ない、というルールのため、一般的なRTSと比較して、マウスを操作する量が大幅に少なくなっています。

一般的な RTS というのは、良くも悪くも、実際のところは「半分くらいアクションゲーム」と言って良さげなゲーム性なんですが(そこが人気の秘訣なんでしょうが)、Kohan シリーズではアクション性がかなり控えめなので、作戦の優劣こそが勝敗を決めるという、戦略ゲーム本来の魅力が味わえるのです。

とまれ、戦略ゲームで大事なのは、ルールです。上で書いたように、Kohan はそのルールの斬新さこそが、高く評価されたのです。これまた上で書いたように、大枠の部分では、「資源を集めて、軍隊を増強して、ひたすら攻めていく」という、RTS としてはごく普通のスタイルを採用しています。が、中身、つまり実際のルールはかなり違っていて、プレイ感覚が全く違います。

例えば、Kohan シリーズでは、軍隊の生産と管理を、部隊単位で行うのですが、ユニットが1体でも残っていれば、回復が完全に無料で行えます (その代わり、ユニットが減っても維持費は変わらず)。このルールにより、撤退するという選択肢が、一般的な RTS 以上に大きな意味を持っています。

また、Kohan には、「資源の蓄積」という概念がありません。なので、軍隊を維持するには、原則として常に生産ラインを確保しておく必要があるのですが、資源の不足分を金銭で補う事も可能 (自動的に行われる) なので、ある程度なら柔軟な資源の運用が出来ます。逆に、余剰な資源を輸出して、金銭収入に変える事も可能。

資源と言えば、一般的な RTS では、周囲の土地から資源を採取するスタイルであるのに対し、Kohan では施設さえ建設すれば、どこでも資源が一定量生産出来るのも、大きな特徴です。実際には、マップ上に資源が採掘できる鉱床が配置されているのですが、鉱床が少なめに配置されたマップでは、ほぼ純粋にプレイヤーの運営手腕が問われる展開も楽しめます。

なお、生産可能な部隊の数、資源を産出する施設の数は、その時の国力により、大きく制限され、なおかつ、ある程度で頭打ちになります。最初から、ある程度は今後の方向性を固めておかないと、勝利を掴むのが難しくなります。

戦闘については、いわゆる地形効果が存在し、地形により攻撃力や防御力が変化します。また、士気の概念があり、これが大幅に減った部隊は勝手に戦線から離脱してしまいます。戦闘時に細かく指示を出す事が出来ないとは言え、軍隊を指揮する際に気を配るべき事は多いです。

ルール紹介は、こんなところで。正直なところ、上のは特に特徴的な部分を抜き出しただけなので、ルール紹介としては不十分なのですが、これ以上続けると、あまりにも長くなり過ぎるので……

とまれ、Kohan のルールは、シンプルに纏まっていながら、作戦立案の柔軟さと、深い思慮を必要とされる点が両立されていて、実に具合がよろしい。何より、戦略レベルでの判断に重みが置かれているのが、良いですよね。

そんなわけで、「著名な RTS を遊んでみたけど、どうも自分が期待していたゲーム性と違うなあ」と感じた方は、試してみる価値があると思います。まー、演出面がどうにも地味すぎるという欠点があるにはあるんですが、ゲーム性そのものは一級品。あと、ランダムマップがかなり使えるので、その気になれば、かなり長い間遊べます。

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2009/07/17

Kohan2 が、日本語ウィンドウズxpで起動しなくなった時の対処法

今回、紹介するのは、Kohan 2 : Kings of War という名作RTSが、ある日突然起動しなくなった、という時の対処法です。もっとエレガントな方法があるかも知れませんが、取り敢えずは、これで。

どれくらいのニーズがあるのか、全然分からんけど、サクッと検索した限り、他ではこの情報が公開されていないみたいなので、せっかくだから晒しときます。原因が分かり辛く、対処法が思い付くまで、時間が掛かったしね。

まあ、とまれ。昨日、ひっじょーに久し振りにKohan2を遊びたくなったので、起動してみたのですが、なんか、見知らぬエラーメッセージが出て、起動途中で強制終了してしまいます。ちなみに、エラーメッセージは、

「Processing non-unicode truetype font」
(意訳:フォントを準備しようとしたけど、ユニコード対応でないので、駄目でした)

というもの。

ネットで検索した結果を元に、Kohan2の起動ログを確認してみたところ、なんか日本語を表示するフォントとして、MSゴシックを読み込む際に、上記のエラーが発生しています。なお、ネット上で同じ症状を訴えている人は2名いましたが、両名ともVista環境でした。(ちなみに、非日本語圏の人)

言うまでもなく、MSゴシックはOS標準のフォントであり、普通に考えてユニコード非対応という事は有り得ません (と言うか、OSレベルでユニコード対応してる筈)。そもそも、昔は問題なく起動してたのに、突然起動しないってのもヘンです。フォントキャッシュが壊れている、という、昔よくあった不都合でもない。

とまれ、昔は正常に起動していた、って事は、Microsoft Update経由でxpをアップデートした際に、フォントの扱いを変えてしまうアップデートを適用してしまったんだろうな。……と、ここまで考えて、ようやく一つ、原因が思い当たりました。で、やっぱりそれが原因でした。

その原因とは、「JISX2004対応フォントパッケージ」。これは、xpに標準で添付されているMSゴシックとMS明朝系のフォントを、最新の日本語文字コードセットであるJISX2004に対応したものに置き換えるパッケージです (註:元のフォントファイルも、ファイル名を変更した上で、残されます)。なお、JISX2004とは、分かり易く言うと、より多くの文字をコンピュータ上で扱えるように、4000文字以上が新規に追加された規格です。

細かい理屈は後回しにするとして、xpの場合は、要するに、この「JISX2004対応フォントパッケージ」をアンインストールすれば、再びKohan2が正常に起動するようになります。「コントロールパネル > アプリケーションの追加と削除」を開いて、ウィンドウ上部の「更新プログラム」のチェックボックスをオンにすると、リストの中に、このフォントパッケージが表示されます。これを削除してリブートすれば、オッケ。

では、Vista (及び' Windows 7)はどうか?Vistaを所持していないので予測ですが、たぶん大体同じようにして、起動するように出来ます。

Vista以降では、MSゴシックは最初からJISX2004対応のものがインストールされています。幸い、これを旧来のものにダウングレードするためのパッケージがマイクロソフトから公開されているので、これをインストールします。
Windows Vista および Windows Server 2008 向け JIS90 互換 MS ゴシック・明朝フォントパッケージについて

運が良ければ、これだけでKohan2が起動してくれるでしょう。但し、ここに不安定要素が一つ。起動ログから判断すると、Kohan2は、準備するべきフォントを、OSに問い合わせているようなのです。なので、OSの標準フォントを「メイリオ」に設定されていると (これがデフォルト?)、上手く行かないかも。この場合、レジストリを手作業で書き換える必要があるかと思います。

おまけ。原因をより深く探ってみる

さて、ここからはオマケです。この症状が出た原因を、もちっと深く考察してみよう、というコーナー。逆アセンブリしていない以上、予測の範疇を出られないので、あんまり意味が無い気もしますが。なんとなく興味がある人はどうぞー。

前述のように、Kohan2は「これ、Unicodeのフォントじゃないよ!!」等と言い張っておいでですが、実のところ、JISX2004対応フォントは、バリバリにUnicodeなフォントです。それまでのShift-JISなどと違い、内部コードもUnicode16で作ってるみたい。

ただ、JISX2004規格は、最新のUnicode規格をバリバリに利用しているようで、このへんにKohan2が対応出来ていないのが、原因なのでしょう。

ちなみに、Kohan2は、Unicodeの処理を、OSに任せず自前で行っているのは、間違いないと思われます。何故なら、最新のUnicode規格にしっかり対応しているVistaでも、このエラーが出ていますから。

なお、起動に成功した時のログを眺めていて、不可解な点を一つ発見。ログには、得られたフォントの名前が記録されるのですが、日本語フォントのところだけ、その名前が空白になってます。

うー。良く分からん。何が悪いんだ?

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